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                         2005/05/21
         自主学習のコツ Vol.005
                        薮荷筒丸
     ホームページ: http://www.flsi.co.jp/gakushu/
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今回は、学習環境について考えてみます。学習環境とは、学習する
ときの椅子、机、部屋、照明、壁、空調、教材などです。

基本的には、「快適な」環境と「楽しい」教材を選ぶことが原則と
なります。
不快な環境でおもしろくない教材を使って勉強していると、勉強に
集中できず、意欲が減退してしまうことは言うまでもありません。


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2.学習意欲を高めるために
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学習意欲を高めるためのお話として、今回は学習環境について考
えてみましょう。
学習環境といっても、学校の環境は個人的に変えることはできま
せんから、自分の勉強部屋の環境のお話になります。

まず、勉強部屋の中で自分に一番身近なものは何でしょうか?
それは、椅子です。勉強している間、椅子はいつも自分の体に接
していますので、椅子が快適なものかどうかは、学習意欲にも
かなり影響するのです。(椅子その他の環境の快適性が与える影響
は、意外と自覚されにくいので、気がつかない場合が多いのですが。)

昔は座板が平らで背もたれも平らという椅子が多く、長時間座ると
疲れたりお尻が痛くなってきたりしたものですが、最近は人間工学
に基づいて作られた、いい椅子が多くなりました。
椅子の形などは文章では説明しにくいですが、要するに実際に座っ
てみて居心地のいいものを選べばいいんですね。
なお、椅子は、座板の高さを自由に変えられるものにしてください。
座板の高さが調整できることはとても重要なのです。また、キャス
ター(小さい車輪)がついて、自由に移動できるものが望ましいで
すし、座板は、ビニル製などの安っぽいものではなく、布製にして
ください(吸湿性があるため)。
座板の高さは、足が床にしっかりとついて、なるべく座面全体に
均等に体重がかかるような高さ(下腿高から1cm引いた程度、およそ
身長の1/4)にします。といってもよくわからない人は、要するに
座ってみて一番快適に感じる高さに調整すればいいです。

(しかし、いくら環境を快適にしても、自分の体が不健康だと
やはり快適ではなくなってしまいます。
たとえば、現代の社会人は運動不足の人が多いですね。たとえ、
いい椅子を選んでいても、運動不足の人はすぐに腰が痛くなって
きたりします。日頃から腹筋運動や背筋運動などをして腰を支え
る筋肉をある程度鍛えておく必要があります。
適度な運動は脳の働きも活発にしてくれますので、一石二鳥です。
学生時代はスポーツをやっていても社会人になると運動しなくな
るという人が多いですが、健康のためにも、気分転換のためにも、
脳を活発にするためにも、休日だけでもいいですので、何か軽い
スポーツを続けましょう。
その他、体に悪いことはできるだけ避け、体にいいことをして健康
維持に努めましょう。)


次に重要なものは机です。机は必要な勉強道具を余裕を持って置
けるように、なるべく広めのものがいいです。また、すぐ手が届
くところに必要な勉強道具を入れて置けるように、十分な収納ス
ペース(引き出しや本箱)が付随しているか、あるいは、机の
周囲の手の届く範囲に必要な勉強道具を収納できるだけの引出し
(キャビネット)や本箱を置くことが望ましいです。

ただし、机の上に本箱などを置くのは避けましょう。机の上には、
現在勉強しているものに関係のないもの(文字が書かれているもの)
は置かないようにすべきです。関係のないものを置いていると、
無意識のうちに、雑念が生じる原因になり、集中を妨げることが
あるからです。

机も高さが調整できるものが望ましいです。机の脚に下駄をはか
せるという方法もありますが、面倒です。
机の高さは、座板の高さに座高の1/3を加え、1cmを引いた程度に
調整しますが、基本的には、実際に使ってみて一番快適に書きもの
ができて疲れにくい高さにすればいいです。


勉強部屋は、1階(玄関や茶の間や台所などがあって、人の出入
りの激しい階)よりは2階の方が望ましいです。なるべく家族や
他人から干渉をうけにくく、生活音などが遮断された空間が望ま
しいのです。

勉強部屋の広さは、机や家具などの必要な設備が余裕を持って置
けるような広さで、かつ、体操ができ、寝転がることができるく
らいの十分なスペースをあけておくのが望ましいのですが、必要
以上に広すぎるとかえって勉強に集中しにくくなりますし、空調
などに要する電気代も無駄になります。

なお、部屋の中に多くの物が散らかっていると、うんざりしてき
て気分的にもよくないですし、気が散って集中の妨げになります。
必ずしも徹底的にきれいに片付けておく必要はないのですが、な
るべく日頃から整理整頓する習慣は付けておきましょう。

部屋の中の机の位置は、部屋の隅の方で、左側に窓がある位置が
望ましいです(右利きの場合)。左利きでペンを左手で持つ人の
場合は、逆に右側に窓がある位置が望ましいです(書きものをす
るときに影が邪魔にならないようにするため)。
しかし、いつも同じ位置というのではなく、勉強がマンネリにな
ってきたときなどには、気分転換に机の位置を変えると学習意欲
が回復することがあります。

なお、窓の外から勉強部屋の中を見られるような環境では気が散
って集中しにくいですから、窓はすりガラスにするか、レース・
カーテンなどで内部が見えない(けれど採光はできる)ようにし
ておきましょう。

照明は、部屋全体を明るくするものと、机上を照射する、いわゆ
るスタンド式の照明の2種類用意することが望ましいです。
部屋全体の明るさは150ルクス以上程度。机上に照射する明るさは
500ルクス〜1000ルクス程度が望ましいといわれています。
また、普通の蛍光灯だとちらつきのために(自覚している人は少
ないとは思いますが)、目が疲れやすいのですが、インバータ方
式の照明を使えば、目の疲労度をかなり減少させることができる
という話もあります。
さらには、直接照射する照明よりは、壁などに照射してその反射
光を利用する間接照明の方が疲れが少ないといわれています。
以上、目が疲れやすいという人は検討してみましょう。


空調については、まず最初に温度と湿度を適切なものにするとい
うことが重要になります。気温は24度くらい、湿度は50パーセン
トくらいが一番快適だといわれています。

まだ寒い方は服をたくさん着込むなどの方法でも対処できるので
いいのですが、一番重要なのは暑さ対策です。真夏になると、さ
すがに服を脱いだだけでは対処できませんので、エアコンなどで
冷やす必要があります。

しかしながら、外気とあまりにも温度が違いすぎると、頻繁に出
たり入ったりする人は体調をくずす恐れがあります。外気温との
差は5度以内にしておくという鉄則も頭に入れておく必要がありま
すね。

それから、エアコンやファン・ヒーターから出る風についても、
快適なものと快適でないものがあります。専門用語を使うと、
「1/fゆらぎ」(fぶんの1ゆらぎ)を持つ風が望ましいのです。
たとえば、草原のそよ風というのは、風力が1/fゆらぎで変化する
のですが、これが人には一番心地よい風となるそうです。このよう
な心地よさを得るためには1/fゆらぎを持つ空調設備が望ましい
のです。最近のエアコンやファン・ヒーターには1/fゆらぎを持
つ製品が作られてきていますので、探してみてください。

1/fゆらぎとはいったい何なのかという説明は面倒くさいので、
当メールマガジンでは省略します。知りたい人は、下記の文献
を読んでみるのもいいと思います。快適さということの科学的
な研究について解説した本です。

「快適科学」
http://www.flsi.co.jp/books/kaiteki1.htm

その他、さきほどの椅子や机の話も含めてどんな住空間が快適
かといったことについても、この本に詳しく書かれています。


次に壁について考えてみましょう。
色彩心理学によると、一般に暖色系は暖かくて楽しい感じを与え
る色ですが、特に黄色は希望や向上心を与えます。また、オレン
ジ色はやる気をおこさせる色です。したがって、壁の色は、黄色
を基調にしてオレンジ色のストライプでアクセントをつけるなど
すれば、学習意欲をわかせるのにも役立ちます。

しかし、元気過ぎて落ち着かない人は、気分を落ち着かせて学習
に集中させることが必要ですから、逆に青色などの寒色系の壁に
した方がいいでしょう。

壁を塗り替える(あるいは壁紙を張り替える)のが面倒な人は、
絵などを飾るだけでも効果があります。
日本の伝統的な部屋の壁は殺風景なものが多いですが、米国など
の子供部屋では壁に写真や絵などをたくさん貼り付けてあったり
します。こちらの方が学習意欲を盛り立てる上でも効果があるの
です。
殺風景な壁が一番よくありません。


バックグラウンド・ミュージックとして音楽を鳴らしながら学習
することも、意欲を向上するために役立ちます。
心理学者による実験でも、何も聞かないよりは音楽を聞きながら
学習する方が、成績が向上することがわかっています。ただし、
どんな音楽でもいいというわけではありません。音楽によっては
学習の妨げになるものもあります。
米国の心理学者によると、クラッシック音楽が特に学習に効果が
あり、一番効果が高いのはモーツァルトの音楽だそうです。
したがって、モーツァルトの音楽を聞きながら学習するようにす
るといいでしょう。

なお、音楽を聞きながら学習することは、単に効果があるという
だけでなく、不要な雑音を打ち消す働きもあります。
せっかく2階に勉強部屋があっても、1階から音が筒抜けでは勉
強に集中しにくいでしょう。特に人の話し声やテレビの音など、
意味のある音が集中の妨げになります。このような妨害音も、
音楽を鳴らしていれば、ある程度防ぐことができます。ヘッド
フォンで聞けば、特に妨害音の防止に効果があるでしょう。


最近はアロマテラピーが流行っていますが、レモンなどの柑橘類
系の香りを部屋の中に漂わせておくことも、楽しいですし、学習
効果にもプラスに働きます。


以上、勉強部屋に関してお話してきましたが、自分の勉強部屋
以外にも、例えば通学に使っている電車の座席や、公立図書館
の座席などでも勉強はできますね。こういう環境では通常、周
囲にいる人は自分とは無関係な人なので気にならず、また話し
声などの意味のある音も聞こえない場合が多いので、意外と集
中しやすいものです。


        *** 続く ***



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